「建設業で稼ぐなら、どの職種を選べばいいのだろう」——そう考えていませんか。ひとくちに建設業といっても職種は多く、職種によって年収には300万円以上の差が生まれます。
この記事では、厚生労働省の公的データをもとに「建設業の年収」を職種別のランキングで紹介します。高収入の職種はもちろん、年代別・企業規模別の相場、給料が高い理由、そして年収を上げる具体的な方法まで解説します。読み終えるころには、あなたが目指すべき職種とキャリアの道筋が見えてくるはずです。
本記事のデータについて
年収の数値は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」および職業情報提供サイト job tag をもとにした目安です。同じ職種でも、経験・資格・企業規模・地域・雇用形態(会社員/一人親方)によって大きく変動します。数値は参考値としてご覧ください。
1. 建設業の職種別年収ランキングTOP15
結論から言うと、建設業で年収が高いのは「国家資格が必要な管理・技術職」と「危険・特殊作業を伴う専門技能職」です。まずはランキングで全体像をつかみましょう。
ランキングの算出根拠
本ランキングは、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の職種別データおよび job tag をもとに、平均年収の目安を高い順に並べたものです。数値は全国平均の目安であり、経験・資格・企業規模・地域によって差があります。
職種別 年収ランキング【早見表】
| 順位 | 職種 | 平均年収の目安 | 主な必要資格 |
|---|---|---|---|
| 1 | 一級建築士 | 約702万円 | 一級建築士 |
| 2 | 電気工事施工管理技術者・電気技術者 | 約690万円 | 電気工事施工管理技士 |
| 3 | 技術士(建設部門) | 約650〜667万円 | 技術士 |
| 4 | 建築施工管理技術者 | 約633万円 | 1級建築施工管理技士 |
| 5 | 掘削・発破工 | 約560〜617万円 | 発破技士・掘削作業主任者 |
| 6 | 電気工(電気工事士) | 約548万円 | 第一種・第二種電気工事士 |
| 7 | 土木施工管理技術者 | 約533万円 | 1級土木施工管理技士 |
| 8 | 配管工 | 約467〜512万円 | 配管技能士 |
| 9 | とび工(鳶職) | 約506万円 | とび技能士 |
| 10 | 測量技術者 | 約469〜489万円 | 測量士・測量士補 |
| 11 | 建設機械オペレーター(重機) | 約421〜475万円 | 車両系建設機械運転技能講習 |
| 12 | 鉄筋工 | 約452万円 | 鉄筋施工技能士 |
| 13 | 溶接工 | 約452万円 | JIS溶接技能者など |
| 14 | 大工 | 約415万円 | 建築大工技能士 |
| 15 | 土木作業員(土工) | 約393万円 | 不問(未経験可) |
※出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」/job tag をもとにした目安。調査・年度により数値に幅があります。土木作業員も施工管理へのキャリアアップで600万円台を目指せます。
上位職種に共通する特徴
ランキング上位を見ると、明確な共通点があります。1〜4位を占めるのは、一級建築士・電気工事施工管理・技術士・建築施工管理といった、国家資格を要する管理・技術職です。法律で現場への配置が義務づけられる場面もあり、有資格者の需要が常に高い状態にあります。
一方、5位の掘削・発破工や9位のとび工のような技能職が上位に入るのは、危険・特殊作業という代替の効かない専門性ゆえです。「資格」か「専門技能」——どちらかを高めることが、建設業で年収を伸ばす王道といえます。
もう一つ見逃せないのが、上位に電気系の職種が複数入っている点です。2位の電気工事施工管理、6位の電気工(電気工事士)はいずれも高水準で、現代のビルやプラント、データセンターに不可欠な存在です。電気設備の設計・施工管理はIT分野とも融合し、最先端の知識が求められる成長領域として、今後さらに価値が高まると見込まれます。
2. 建設業の平均年収と全産業比較
「建設業は給料が安い」というイメージは、データで見ると実態と異なります。冷静に数字を確認しましょう。
建設業の平均年収
2025年時点の調査では、建設業の平均年収は約565万円です。月給平均は約38.4万円、年間賞与の平均は約104.6万円となっています。国税庁「民間給与実態統計調査」による全産業平均は約460〜478万円なので、建設業は全産業平均を大きく上回る水準にあります。
企業規模による年収の差
建設業の年収は、企業規模によって大きく変わります。厚生労働省のデータでは、従業員10〜99人規模の平均年収が約499万円なのに対し、1,000人以上の規模では約736万円。同じ建設業でも、企業規模によって230万円以上の開きがあります。
つまり、同じ職種・スキルでも、勤める会社の規模で年収は大きく変わるということです。年収を上げたいなら、規模の大きい会社を目指すことも有効な戦略になります。
3. 年代別・地域別の年収
建設業の年収は、年代と働く地域によっても変わります。それぞれの傾向を見ていきましょう。
年代別の年収推移
建設業は経験を積むほど年収が上がる「右肩上がり型」です。厚生労働省のデータをもとにした目安は以下の通りです。
| 年代 | 建設業の平均年収の目安 |
|---|---|
| 20代前半 | 約280〜333万円 |
| 20代後半 | 約323〜382万円 |
| 30代 | 約500〜560万円(賞与含む) |
| 40代 | 約450万円〜(所定内) |
| 50代後半(ピーク) | 約670〜700万円 |
※厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとにした目安。
賃金のピークは50代後半です。30代は実務経験と資格取得が重なり、年収の伸びが特に大きい年代なので、この時期に資格を取れるかどうかが生涯年収を左右します。
地域による年収の差
働く場所も年収を左右します。大規模な建設プロジェクトが集中する東京都が約657万円と突出して高く、次いで福岡県、宮城県と続きます。都市部の再開発や復興関連の需要が年収を押し上げていると考えられます。地方でも、その地域の中核都市では高い給与水準が期待できます。
4. 建設業の給料が高い3つの理由
建設業が全産業平均を上回る背景には、明確な理由があります。今後の年収を考えるうえでも重要なポイントです。
深刻な人手不足
建設業は高齢化と人手不足が深刻です。企業は人材を確保するために賃金を引き上げており、これが年収水準を押し上げています。特に若い担い手は希少なため、経験を積めば市場価値が上がりやすい構造です。
専門性・資格が評価される
建設業は技術や知識が重要な「資格社会」です。優秀な人材や有資格者に高い給与を提示する傾向が強く、資格・経験がそのまま収入に反映されます。単なる年功序列ではなく、スキルが評価される点が魅力です。
2024年問題と労務単価の上昇
2024年4月からの時間外労働の上限規制(2024年問題)への対応として、各社が処遇改善を進めています。また、国土交通省の施策により、公共工事の労務単価(賃金の基準)が年々引き上げられています。こうした後押しにより、建設業の賃金は上昇傾向が続いており、この流れは当面続くと見込まれます。
5. 職種別に見る年収アップの方法
建設業で年収を伸ばすには、明確な戦略があります。代表的な方法を紹介します。
国家資格を取得する
最も確実なのが資格取得です。施工管理技士や建築士などの国家資格を取得すると、担当できる業務の幅が広がり、資格手当や昇進につながります。特に1級施工管理技士は、大規模工事に配置が義務づけられる監理技術者として働けるため、企業からの需要が非常に高い資格です。
1級施工管理技士には、建築・土木・電気工事・管工事・電気通信工事・建設機械施工・造園の7種類があります。自分の業務内容や目指したい分野に合わせて選ぶことが重要です。複数の資格を組み合わせて取得すれば、対応できる工事の幅が広がり、市場価値をさらに高められます。会社によっては受験費用や講習費を負担してくれる制度もあるため、資格支援の手厚い企業を選ぶのも賢い戦略です。
施工管理へキャリアアップする
技能職として経験を積んだ後、施工管理へキャリアチェンジする道があります。たとえば土木作業員(約393万円)が土木施工管理技士を取得してキャリアアップすれば、600万円台も目指せます。施工管理は経験がそのまま市場価値になり、体力的な負担を抑えながら年収を上げられる王道ルートです。
独立・企業規模の大きい会社へ
技能を極めた職人は、独立という選択肢があります。一人親方の平均年収は500〜600万円程度とされ、元請けと直接契約すれば年収1,000万円以上も視野に入ります。独立以外にも、企業規模で年収が230万円以上変わるため、より規模の大きい会社・成長分野の会社へ転職することも、年収アップの有効な手段です。
6. 未経験から高年収を目指せる職種
建設業は、未経験からでも高年収を狙いやすい業界です。その理由と、将来性の高い職種を紹介します。
学歴・経歴不問の実態
建設業の多くの職種は、未経験から入職できます。大工・左官・塗装工・とび工などは、見習いから始めて親方や先輩職人から技術を習得する「職人文化」が根強く残っています。学歴や過去の経歴よりも、これから身につける技術と資格が評価される世界です。
ただし、クレーン運転工や電気工など一部の職種は資格が必須です。未経験の場合は、まず資格取得の支援制度がある会社を選ぶと、スムーズにキャリアをスタートできます。
将来性の高い職種(電気工事士)
需要の伸びが期待できる職種を選ぶことも、年収アップの重要な戦略です。特に電気工事士は、カーボンニュートラルの流れから、太陽光発電やEV充電インフラの整備需要が急速に拡大しています。建設業の中でも、今後10年間で最も安定した需要が期待できる職種の一つです。
電気は建物・インフラに不可欠で景気に左右されにくく、資格を段階的に取得することで着実に年収を上げられます。将来性と安定性を両立したい人には、有力な選択肢といえます。
電気工事士のほかにも、施工管理は今後も需要が安定した職種です。人手不足が深刻で、未経験・異業種からの転職も歓迎される傾向があり、資格取得を支援する企業も増えています。「手に職をつけて長く安定して稼ぎたい」なら、成長分野に関わる電気系や、経験がそのまま価値になる施工管理を軸にキャリアを設計するとよいでしょう。どちらも、これからの努力が正当に報われやすい職種です。
まとめ
建設業は、職種と資格の選び方次第で年収700万円台も狙える、全産業平均を上回る世界です。最後にポイントを整理します。
- 職種別の上位は「一級建築士」「電気工事施工管理」「技術士」など資格系の管理・技術職
- 建設業の平均年収は約565万円で、全産業平均を大きく上回る
- 企業規模で年収は230万円以上変わり、年代は50代後半がピーク
- 給料が高い理由は「人手不足」「専門性・資格」「2024年問題・労務単価上昇」
- 年収アップの鍵は「資格取得」「施工管理へのキャリアアップ」「独立・大手への転職」
「もっと稼げる職種に挑戦したい」「自分の経験や資格を正当に評価してほしい」——そう思ったら、まずは情報収集から始めましょう。建設・施工管理系に強い専門転職サービスに登録すれば、高年収の求人や非公開求人、無料のキャリア相談を受けられます。今の市場価値を知ることが、年収アップへの確かな第一歩です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 建設業で最も年収が高い職種は何ですか?
一級建築士(約702万円)が最も高く、次いで電気工事施工管理技術者・電気技術者(約690万円)、技術士(約650〜667万円)と続きます。いずれも国家資格を要する管理・技術職で、高度な専門知識が評価される職種です。
Q2. 未経験から建設業で高年収を目指せますか?
はい、可能です。多くの職種は未経験・見習いから始められ、経験と資格取得で着実に年収が上がります。特に20〜30代のうちに施工管理技士や電気工事士などを取得しておくと、その後の年収の伸びが大きくなります。
Q3. 建設業で年収1,000万円は可能ですか?
可能です。技能を極めて独立し元請けと直接契約する、1級施工管理技士を取得して大規模現場の責任者になる、スーパーゼネコンで現場所長になる、などのルートがあります。まずは会社員として資格と経験を積むのが現実的です。
Q4. 職人と施工管理はどちらが稼げますか?
平均で見ると、施工管理(約533〜633万円)のほうが職人より高い傾向があります。ただし、とび工や掘削・発破工など危険手当のつく技能職や、独立した一人親方は高収入も可能です。体力面や適性も考慮して選ぶとよいでしょう。
Q5. 建設業の求人はどこで探すのがおすすめですか?
建設・施工管理系に強い専門転職サービスがおすすめです。高年収の求人や、資格・経験を高く評価してくれる求人を条件で絞り込めます。非公開求人の紹介や年収交渉の代行も無料で受けられるのが一般的で、一人で探すより効率的です。
Q6. 建設業は今後も年収が上がりますか?
上昇傾向が続くと見込まれます。人手不足の深刻化、2024年問題への対応による処遇改善、公共工事の労務単価の引き上げなど、賃金を押し上げる要因が重なっています。特に有資格者や経験者は、需要の高さから待遇改善の恩恵を受けやすい状況です。
Q7. 体力に自信がなくても建設業で長く働けますか?
可能です。年齢を重ねたら、施工管理・現場監督・測量技術者など、体力的な負担が比較的軽い職種へキャリアチェンジする道があります。若いうちに施工管理技士や電気工事士などの資格を取っておくと、こうしたキャリアの選択肢が大きく広がります。
